小さな夢の蕾に、いつか小さな花が咲く
45歳。次の夢に向かって歩く
8歳になる次男が何を思ったか、私に聞いてきた。
「お母さんがボクくらいのときの夢は何?」
一瞬、たじろぐ私。そして、
「お母さんになること」と、答えてみた。
「え~、そんなこと~」と、次男。
私としては、息子にとってこの上ないうれしい回答だったと思ったのだが。
期待外れだったようだ。
「そういうんじゃなくて、何になりたいとか~」と、違う答えを期待する息子。
また、数秒、思いを巡らす・・・。
幼稚園の卒業アルバム、小学校の文集。なんて書いたっけ・・・。
「そうそう、幼稚園の先生。ピアノの先生」
「へ~、先生になりたかったんだ~」納得する次男。
これが彼にとって正解の答えだったらしい。
・・・。
「お母さんになる」って、「夢」の中にはカウントされないのかな~。
私には小さいころからの夢があった。
「子ども3人のお母さんになること」
たぶん、幼稚園の先生とか、ピアノの先生とか。
そういった夢とはまた違うくくりの夢。
漠然と、疑いもなく、結婚をして子供を産んで母になる。
ずっと思い描いていた理想の家族像。こんな家族で、こんなお母さんになりたいと。
でも、私の夢はかなわなかった。
結婚したのは27歳で、今の時代遅いほうではなかったと思う。
ちょうどWebの仕事を始めて、仕事が楽しかった時代。
子どもは欲しかったけど、仕事や自分のやりたいことを優先してしまっていた。
30代に入り、少し子供のことも頭をかすめるが・・・。漠然とまだ、もう少し。
31歳、32歳、33歳。周りの家族ずれを見て、目を伏せる。
もしかしたら、子供はできないのかも・・・。
結婚7年が経ち、自分の中では子どもがいない人生も考え始めていたころ、全く予期せぬタイミングで長男を授かった。
本当に、神様が運んで来てくれたかのように。
34歳になっていた。
やりたいと思うことは全てやりきっていた。自分が思う通りに生きてきた。
だから、34歳になって母親になった私は、すべての優先順位を子どもが1番にできたのだと思う。
早く二人目。そう思ってもなかなかできずに、37歳。3歳離れて次男を授かった。
子どもの可愛さに、諦めきれなかった3人目。40歳を過ぎても、まだ、もしかしたら・・・。42歳。43歳。
1年生になった次男が私に
「○○くんのお母さんは28歳だって。若いよね」
「・・・。そうだね~。お母さん44歳だもん」
妹か弟が欲しいという次男に。
「お母さん44歳だよ。今、赤ちゃんを産んで、その子が1年生になったらお母さん何歳になる?」って聞いてみた。
「51歳!・・・!」
「ほら、51歳のお母さんだよ」って言ったら。妙にすぐに納得する次男。ちょっと寂しかったけど、私も納得した。
やっぱりもう難しいよね。
かなわない夢もある。
それが現実。
「夢」は一生懸命努力して、頑張ればかなうものではないんだって。大人になると気づくもの。
でも、やっぱり、「夢」をもって生きていきたい。
目標や夢を失ったら、どっちに進んでいいのかもわからない、目的なく歩き続けるのはつらい。
だから、私は「夢」を持とうと決めた。
今は、「夢」というより、こうなりたい、ああしたい、そんなことだけど。
それだって十分に私の行き先を照らしてくれる「夢」。
小さな小さな夢の蕾だけど、コツコツと水をやり、肥料を与え、太陽に当てれば、きっといつかは小さな小さな花が咲く。
そう信じて。毎日一歩ずつ進むのだ。